障害者雇用

2012-06-10

精神疾患を持たれるかたの障害者雇用が難しくなっている。

企業には法定雇用率というものがあり、一定の人数で障害を持たれる方を雇用しなくてはならない。その障害を持たれるかたの雇用形態には、身体・知的・精神の3つの分野があり、そのうち私が関係するのは「精神の障害者雇用」で、その雇用状況が伸び悩んでいるのだ。

一度、ひざ詰めで雇用側の意見を聞いてみたことがあるが、身体や知的の分野の障害をもたれる方は歓迎ですが、精神の方はちょっと。。。というのが本音のようだった。

一例を提示すると、ある精神の分野の女性で、有名大学を卒業した30代の方を会社が意を決し雇ってみたところ、入職後、些細な事で立腹し机をひっくり返して大声をだされ、その後、ネット上で会社批判を展開したという。その話は広がり、県内企業の雇用控えが急速に加速されたという。*

無理もない。

会社は、それでなくても、すでに内にいる、新型うつ病の社員に苦慮しているのだから。
裏切られた思いもしただろう。わたしの患者さんでさえ、ハローワークで大声を出し、
机をひっくり返した方がいるくらいだから、それも、1人ではない。 わたしには、彼らの気持ちも痛いほどわかる。でも、それでは社会的に未熟であり、仕事はできない。

以来、わたしの仕事には、患者さんを就職させ、離職を防ぐために、“社会の常識や暗黙のルール” をきちんと明文化して教えることが含まれてきた。
実は、会社は、ここを最も気にしているからだ。

今、わたしが心配しているのは、次の雇用を待つ、大人しく能力豊かな障害者の雇用の機会が失われつつあることだ。何年もかけて準備してきた若者の雇用のチャンスが無くなることはあってはならない。

*プライバシーに配慮して人物構成は改編しています。

 

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