幸福なこどもを育てる

2009-08-23

中学生や高校生になると、進路の問題がでてきますが、日本の家庭や学校では、こどもに自分の人生の目標をどのように設定するかということを教えてこなかったように思います。 そのためほとんどの家庭や学校では、受験という擬似目標だけで生きているのではないでしょうか。

わたしの体験で、大きく分けて2つのタイプの進路の考えかたが、あるように思えます。
ひとつは、親の行きたかった、あるいは、望む、高校や大学をこどもに目指させる考え方。 もうひとつは、こどもに自分のなりたい仕事や、人生をどう生きたらよいかを考えさせて、自分のことは自分で決めさせる考え方です。

有名な高校や大学に入学することも、もちろん目標としてあっても良いのですが、すべてのこどもに卒業すれば否応なく、人間関係がついてまわるので、たとえ有名な学校を卒業したとしても、学校時代に人間関係の訓練が十分にできていない場合は、就職しても、何かのトラブルが起きるたびに、辞めることでしか解決の方法がみつからないという事態になっていく可能性があります。

豊かな能力や可能性をもちながら、それを伸ばせないままに社会から孤立していくことは、あってはならないと思います。 このことは、「何かをしたい」という意欲を育てることで、初めて人は他者とのコミュニケーションを始めるようになり、人との出会いや交わりを楽しむようになり、そこから人生の可能性を広げていくことになるというわたしの外来観察からもそう思うようになりました。

こどもの幸福な人生とは、社会的な孤立をさせないことであり、それは、こどもが将来、たくさんの友人をもち、健康な家庭生活をえて、職業人として成就することであり、有名な高校や大学という擬似目標とはどうも別なゴールにあるように思えてしかたないのです。
そのためには偏差値よりも、ひとりひとりのこどもの能力や特性にあった学校で意欲を育て、授業や部活動を通じて人間関係を切磋琢磨し、対人関係能力やコミュニケーション能力を身につけておく必要があるのではないか、と考えているのです。

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