ADHDとPDD

2011-06-20

ADHD(注意欠陥・多動性障がい)とPDD(広汎性発達障がい)は、Developmental Disorder(発達障がい)と呼ばれ、
最近では広く社会に知られるようになってきました。 ここで言う、“障がい”という言葉は、「仕事が難しい」という意味とほぼ同義で、他の、身体障がい、知的障がい、
精神障がいと同じ定義になっています。しかし、他の障がいと大きく異なる点として、

(1)   経過により変化する場合があること
(2)   環境により、対応により変わっていくこと
(3)   支援の仕方によって変わっていくこと

があげられます。
さて、この障がいの主な特徴には、

(1)友達をつくるのが難しい (2)相手の気持ちがわからない (3)コミュニケーションが苦手 (4)興味がわかない (5)学習上の困難がある (6)感覚が過敏 (7)注意が続かない
(8)自己抑制が苦手で衝動性が高い (9)自己評価が低い

がありますが、親の育て方だけでは説明のつかない、何らかの脳機能障がいの存在や、
家族内集積性が示唆されています。

我が国では2005年に制定された、発達障がい者支援法によって、障がいの早期診断・
療育・教育・就労システムの確立が明文化されたことをうけて、発達障がいをもつ患者さんは外来でも増え続けています。

実際の外来では、ADHDとPDDは、ほぼ重複しており、両方を足すと、わたしの外来の2人に1人程度の頻度になっています。そして、より年少者のほうがADHDの症状を示し、年齢を重ねるにつれてPDDの症状を併せ持つようになっていく傾向があります。

では、実際の社会ではどうかと言うと、発達障がい的要素を全く持たない人は、ほとんど見当たらず、障がいの定義としては、ただ仕事ができないことが問題になるでしょう。
そのため、発達障がいは、学校よりも、むしろ後年の職場や家庭生活で問題として浮上するので、早期発見・早期治療が大切になっています。

この障がいを持っていても予後の良いかたに共通の特徴としては、

(1)   自信のある分野をもっている
(2)   自分の特性がわかっている
(3)   良い点が十分に伸ばされている

があります。 薬物療法(漢方薬やアトモキセチン)は、ADHDやPDDそのものを改善するわけではなく、薬物治療を通じて、家庭や学校、職場など周囲との適切な関係を維持できるようになることにあります。実際に薬物療法を実施した場合に効果として認められるのは、

(1)   落ち着きがでる
(2)   リスクを回避ができるようになる
(3)   立ち直る力をもつ

などがあります。

逆に障害がいを持つ方のなかで、予後の悪いケースに共通の特徴としては、

(1)   夫婦不和
(2)   母子関係に問題

など背景に家庭内不和が観察されます。

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