子どもの貧血①

2010-12-17

一般に貧血というと、眩暈(めまい)や立ちくらみが症状だと思っている方が多いようですが、子どもの貧血の場合、その主要症状が精神・神経症状になることは意外に知られていないようです。

具体的に目に見える症状として、興奮しやすさや多動、集中力の低下、頭痛などが鉄欠乏の初期症状ですが、それを気づかずに放置しておくと、次第に疲れやすく、学習量が落ちていきます、原因不明のうつや不安、不登校などの精神・神経症状を訴えだすのも、だいたいこの頃からです。

医学的に様々な発症機序がありますが、実際に鉄(ヘム鉄*)を補給することで得られる症状の改善は、検査値のHb(ヘモグロビン)が上昇するよりも、ずいぶん前から見られ始めます。 このことは貧血の子どもの愁訴が、貧血本来の 『組織への酸素供給不足により起きている諸症状』 という概念よりは、むしろ鉄欠乏そのものが精神・神経症状を引き起こしていることを示唆しています。 実際に、夜、ヘム鉄*を飲んで休むと、翌朝、元気になっている。 ということを外来では経験します。

一般に治療には経口鉄剤を使用しますが、鉄の代謝がたいへん閉鎖的であるために、無機イオンである非ヘム鉄が体内に入ると過酸化作用が働いて、細胞障がいを引き起こす可能性があるため、子どもさんの症状によっては、ヘム鉄*のほうをお勧めしています。

1988年、スイスのジュネーブで鉄欠乏が小児の脳発達に及ぼす影響についてWHOの国際会議が開かれました。 そこでは小児の発達に影響を与える鉄欠乏の改善の重要性が宣言されました。 中高生で発見される思春期貧血では、意欲に乏しく、運動や修学上大きなハンディキャップを持ちます。 発達障がいや不登校などの増加を受けて、子どもの鉄欠乏対策は、健全な成長と発達に不可欠になっており、そのため鉄欠乏性貧血を積極的に発見して、この障がいを改善することは、小児・学校保健の重要な課題になっています。

*ヘム鉄は、インターネット等でも購入可能ですが、栄養に詳しい医師に相談をされてからのご使用をお勧めしています。


ソーシャルメディアで共有

過去の記事一覧

2019年の記事
2018年の記事
2017年の記事
2016年の記事
2015年の記事
2014年の記事
2013年の記事
2012年の記事
2011年の記事
2010年の記事
2009年の記事